ロジカルシンキングの書籍を以前紹介したが、比較的最近発売された書籍で、「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」という書籍があり、本書は、解像度を上げる4つの視点(深さ/広さ/構造/時間)について、解説している書籍で、事例も交えながら説明しているので、抽象⇔具体が、イメージしやすい。

 これを読んだ時に、これは私が普段利用してる5W5Hの考え方に、似ていると思ったので紹介する。検索すると似たようなものが出てくるのだが、これは、私独自のオリジナルなので、この5W5Hというキーワードは別に有名ではないので注意(いかにも一般的な言葉であるかのように使わないように・・・)。もともとは、5W1Hに多少のアレンジを加えて、5W2Hとか5W3Hとかで考えていたのだが、これは多少突き詰めて考えれば、利用価値が高いフレームワークになりそうだったので、かなり前に一度整理し、多少の改善を加えて、磨いたものなので、もし利用できそうなポイントがあれば、取り入れてみてほしい。 

5W5Hの考え方

 まず、Why?で問を設定するところから始めて、より具体的なWhatなど、そして、Howでさらに具体的な落とし込みをおこなうというのが基本的な考え方だ。順序も重要でWWHの順番で考える。5W1Hの5W部分は基本的な考えと同じ、このため、Why、What、When、Where、Whoについては詳細は省略する。

ポイントとなるのは、Howの部分。これをある程度具体的に示すのが5W5Hの考え方だ。

How long/ How often:これは時間軸の線的な概念時間軸における点的な概念の考え方。短期、中期、長期などの時間軸のなかで、どのくらいの頻度で行うかなど。

How much /How many : これは、金額や数量を考慮するという点で、5W2Hとかで検索するとこれが出てくるケースが多いので、これはやや一般で、要するに金額や数量を考慮せよという考え方。

How to measure, record :これは、おそらく会計的な見地が身につきすぎて、編み出された方法。計測と記録の問題。

 1つ目は計測の問題。どのような尺度で計測するか?ということでこれは基本的に生産性で考えればよい。生産性については、付加価値生産性と物的生産性という考え方があるが、基本的な考え方は、「Output ÷ Input」この公式で、何らかの生産性の指標の考え方になるので、この2つの概念を補足するような記録をしておけば、基本的によい。
 例えば、生産量というOutputの尺度を、投入時間というInputの尺度で割れば、時間あたりの生産量などの生産性が計測することができる。これをポイントとなる部分で、定点観測し続けるのだ。

 2つめは、記録の問題。何らかの行為を行った際に、何らかの記録をつけるというのは、非常に重要な考え方で、デコードという考え方を紹介したが、ビジネス上であれ、プライベート上であれ、繰り返し行うようなことは、記録に残したほうが便利なことが多い。これは1年に一度とか数年に1度しか行わないようなことでも、作業記録やポイントを残しておけば、次回の作業の効率が違う。前回のものをベースやヒントにして、TTPM(徹底的にパクって(前回を活かして)、磨く)ということが可能になる。
 また、分析を簡単に行うという観点で言えば、データベース(テーブル構造)になっていることが望ましいので、CSVやJSONなどの形式で、データが自動的に蓄積される形が望ましいが、そんなことができなくとも、なるべく簡単にミスなく記録できるように、スマホアプリがないかどうか?などいろいろ検討が必要で、できるだけ紙やテーブル化されていないExcelデータなどを避けて記録することが必要だ。

 計測と記録の問題を常に考えておけば、評価と分析という後工程でのポイントを押さえた仕事運びになる。ちなみに「測りすぎ」という問題もあるので注意が必要。参考:測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?

How wide , deep : wideはscopeと置き換えてもよい。どのあたりの守備範囲まで広げるかということ。deepは、 深さの問題。どこまで深掘りするのかという問題もあるが、知見が浅い分野であれば、深掘りできないので、専門家に頼るというのが一つの手で、一般的に考えて専門家と非専門家では、対象に対するものの見え方や解像度がかなり違うので、広さと深さについては、専門家や専門書を頼って考えるということが必要だろう。
How process ,matrix : 上記の広さや深さの概念以外に、プロセスも追加して考えるとよい。プロセス以外に、表にしてみるという考えもある。表にしてみると考え方が整理できたということは誰しもあるはずだ。2軸で考えてみたりいろいろ考え方はあるはずなので、表にしてみるという考え方も重要だ。

How to see / What perspective? : これは、「どのように見るか?」ということだが、要するに誰目線なのか?ということだ。顧客側、企業側、生産者など視点を変えることによって見方は変わってくる。視点を切り替えて見ると考え方が全然変わってくる。

まとめ

How long / How often  時間、頻度  → ①時間軸
How much / How many   金額、数量  → ②金額/数量

How to measure, record  計測、記録 → ③フィードバックのための基礎

How wide , deep  広さ、深さ
How process ,matrix プロセス 図表 → ④構造把握

How to see / What perspective?  → ⑤視点の切り替え

もはや5Hではないと感じるかも知れないが、なんとか5個にまとめると上記5つのポイントで集約される、この方法によれば、解像度を高めた形で、物事を捉えることができるようなる。

補足

最後に、Wで少しだけ補足すると
What kind of bias? : どんな種類のバイアスがあるか?
 How to See / What perspective? で視点を切り替えるという考え方を上げているが、それでもバイアスは存在すると考えられるため、自分の考えはバイアスがかかっている可能性があるということを常に念頭においておけば、より慎重な判断ができるだろう。ここはまだあまり深掘りして考えてないので、改善の余地があるかもしれない。

ネットの記事でアンコンシャス・バイアスについて研修を行っている企業もあるようで、政府もアンコンシャス・バイアスを取り上げている。

アンコンシャス【unconscious】 の解説
[形動]意識していないさま。気づいていないさま。無意識的な。

参考;アンコンシャス・バイアス

以上、5W5H(細かくカウントすると5W11H、バイアスも追加すると6W11Hですが、5W5Hで通します。)で解像度を高めるという話でした。