絶版になっており、Kindle版も手に入らないような書籍になっているが、この書籍は、かなり示唆に富む書籍で、「知的生産の技術」という書籍が長年売れ続けているが、その本に匹敵するほどの書籍だと個人的には思っている。著者は、情報学関係の大学教授で、IT関係の用語を利用しながら、知的生産の技術のような仕事術のテクニックを紹介している。
書籍のメモ書きを読み返すとともに流し読み程度を行うことがあるので、書籍自体はあまり売れなかった書籍のようだが、個人的には非常に役にたった本だといえる。特に、本書で大きなヒントとなったのは、「ログ」と「デコード」の考え方。
ログをとることの重要性
ログの歴史的な背景から、解説されていて、ログはログハウスの丸太という意味の他に、記録の意味もある。これは、船に速度計がなかった頃に、船から紐に付けた丸太を海に投げ込んで、その丸太の離れる様子から船の速度の大凡を把握したのだという。ここから、記録という意味がきているようだ。
製造業では、ストップウオッチで作業時間を記録し、分析することが一般的にだが、工数の管理が必要な一部の業種や職種を除いて、ホワイトカラーの各種部門で、何らかのツールを利用して、時間を記録するというようなことはほどんど行われていない。勤怠管理の時間がはあるが、さらに内容を細かく記録することはほとんど行われていない。
これを読んだときに、内容が違ったとしても、同じことに取り組む際に、比較的時間を計測するようになった。また、単に時間を計測するだけでなく、成果の指標となる数値を把握することで、Output(成果)÷Input(時間)=生産性指標が把握できるようになるので、繰り返し似たような課題に取り組む場合は、できるだけ生産性を把握するようにして、今回はパフォーマンスがいまいちだったとか、良かったとかを把握するようになった。
ときどき、日本は、製造業については非常に生産性が高く、ホワイトカラーの生産性が言われるが、ログを適時に取っていないのが一つの原因かと思う。
デコードという考え方
「デコードとは、プログラミング用語で、デコード(decode)とは、一定の規則や方式に基づいて符号(コード)の集まりに変換されたデータに対し、符号化時とは逆方向の変換を行い、元のデータを復元すること。そのような処理を行う装置や電子回路、ソフトウェア、システムなどのことは「デコーダ」(decoder)という。」
これだけ読むと、よくわからないが仕事術的な発想で考えると、「思考中に浮かんだ、解決へのヒントとなる考えや複雑な問題を解決するためのポイント」を何らかとの記録にとって、次回以降の作業のヒントとするため、何らかの形で記録を残すということだ。
そしてこのデコード化した情報は、絶対に捨てることなく、すぐに使える状態にしておくことが重要で、もし、これがないと、似たようなことを行う際に、はじめからやり直しになってしまう。次回に同じ作業を行う際には、前回のデコード情報を参照しながら、スピーディかつさらに改善した形での実施が可能となる。
他にも仕事のヒントとなる情報が多くあり、GTDの書籍と合わせて読むとさらに良い。本書の他のポイントは別の機会にまとめて紹介。