前回、「脳を鍛えるには運動しかない」という書籍を紹介したが、今回は、使える脳の鍛え方 成功する学習の科学という書籍を紹介。この本は、学習方法を研究している心理学者が一般向けにエッセンスを紹介した本。さまざまな学習方法の本がでているが、この本と、自分の目標とする資格試験などの勉強本を一通り確認するだけで、他のものには手をつけないでよいと思うぐらい内容はよい。試験範囲の広い資格試験などには特に使える内容となっている。

 「教科書の再読」「同じ科目に集中して取り組む」「線引きを使い分ける」など、日本でも半ば通説的に正しいとされている学習方法が、実は効率が悪いことが明らかに!認知心理学と教育をつなぐことを目指し、長年実証研究を続けてきた心理学者が明かす〈本当に身につく学習法〉とは?

 類書に、「進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで」という書籍があり、こちらのほうが、コンパクトにまとまっているので、エッセンスを掴みたい方はこちらをおすすめする。

 キーワードとしては、分散学習交互学習テスト効果という用語。

 分散学習とは、同じ内容を学習するときに時間を空け、復習間隔を伸ばしていく学習法です。
 覚えた内容は、短期記憶として頭の中に残りますが、人間は学んだことの大半をおよそ24時間で忘れてしまいます。分散学習では、学習した内容を忘れかけてきたタイミングで反復して学ぶことで、記憶として定着させます。
分散学習は、集中学習と比較してより長期的な記憶保持につながることが示されています。これは、「分散効果」(spacing effect)と呼ばれる現象です。

 交互学習(インターリーブ)とは、学習する際に、一度に1つのトピックをまとめて学習するのではなく、関連する別のトピックに切り替えながら学習する方法です。たとえば、英単語を覚えようとしているときに、30分英単語を書いたら次は数学の計算問題を30分勉強し、また英単語を書くというような勉強方法です。
 インターリーブ学習は、資格勉強において単元の合間に別の単元を入れて学習を進めていくことで、個々の単元の特徴がより鮮明に記憶に残るというメリットがあります。
 学習した日の翌日に1回、少し時間をおいたタイミングで3回以上、合計4回以上復習の機会をつくるのがおすすめです。またこの4回を、海馬が必要な情報を整理する約1カ月の間に行うことがポイントです。

 テスト効果(英: Testing effect)は、単に情報を聞いたり書いたりするのに比べ、情報を思い出す(検索する)行為をする結果として記憶が強化されることをいう。この効果は「検索練習(retrieval practice)」や、「テスト強化学習(test-enhanced learning)」ともいわれることがある。

参考:テスト効果https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E5%8A%B9%E6%9E%9C

 ちなみに、テスト効果は、振り返りしやすいように、スコアと日付の記録は必須にしている。参考 → ログをとることの重要性